また、滋賀県立美術館の「対話鑑賞」に行ってきました(4回目)。

posted:2025-04-20 | community_auther | ブログ
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また、県美の対話鑑賞へ行ってきました。

今日も、滋賀県美の「対話鑑賞」行ってきました。
今日は、ファシリテイーターさんがデビュー戦ということでしたが、とってもうまくリードされていました。
で、今日もとってもよかった・為になったので内容をちょっとメモしておきます。

今日の絵は日本画で、作家さんのお名前やタイトルは見るのを忘れてしまったのですが…
記憶を元にサンプルを描いて添付してみました。

本日のお題の絵は、波の荒い岩場に舞う蝶たち。

簡単に構成を説明すると…
海、波の激しい岩場。波は白く荒ぶっていて、青く本来の色が見えている部分があって印象的。
その上には、弱々しい?白とグレーの蝶たちが飛び立っている?
画面上部の狭いエリアに、遠く向こうの暗い?地平と空が見えている。
全体としては、明るい感じがする。
と、こんな感じ。

激しい波の岩場とヒラヒラ舞う蝶の群れ…これどう読み解きますか?^^

対話鑑賞始まり。

いつものように、まず、この絵をじっくり見る。
私は、この時間ではほとんど何も見つけられない。

続いて、参加者がそれぞれの感じたことを話す。
今日は4人参加。

私は、荒々しい岩場と波なのに、絵のタッチが下絵のように薄い塗りなのが気になった。
そこに、蝶たちが描かれていて、明らかに何かをしようとしているのだけど、それが何だかまだわからない。
白波の中で青く海の底を写したような青も、明らかに何かを言おうとしている?

他の参加者は、
白い蝶たちが春を思わせる。
波のしぶきが、蝶に変わっていくよう。
近づくと波が細かく描かれている。
遠景の暗い空が気になる。
…他、
などの意見。

ゲームチェンジャー。この絵のアウトラインが見え始める。

ここで、途中から女性が参加してきたのですが、
「荒い波の上を蝶たちが飛んでいるのは、大変な世界を生きる人々…のような意味では?」と言った。

なるほど、この読み取りがすごく腑に落ちた。
なんとこの女性は、一発で作品の基本的な構成を言い当てしまった!?…と思った。
同時に、これに気づけなくてとっても悔しい(笑

この大ヒントをもらうと色々と謎が解けてくる。
参加者たちからも、いろいろな意見が出された。

私は、この絵の全体像が見えてきた。
世間の荒波、春…ということで、新社会人の門出?のようなものが想像できた。
そう思うと、新社会人のまだ頼りなくて風に煽られて吹き飛ばされてしまいそうなイメージは、蝶々の群れにぴったりだ。
蝶が群れているのも、新社会人たちを想像できる。
この激しい岩場のシチュエーションは、まさに今世間に放り出されたかのようだし。

深読みと想像と予測が始まる。

そう思うと、先ほど話題にした遠景の暗い地平と空は、新社会人たちの行く手に何が待っているのか?という不安を想像させる。
だから、暗く重いのだろうか。
もしこれが、赤ちゃんの誕生で母に抱かれた子供の姿だったとしたら、遠い遠景は明るいイメージで描かれ、光が差していたかもしれない。

ここで、この絵の成り立ちを考えた。
そうか、この絵は、そう言った新社会人や新成人(むしろ新成人か)たちの、門出を描いた絵ということかもしれない。
荒々しい波のシチュエーションは、生命の誕生を祝う…ような明るい希望に満ちた内容ではない、
…とすれば、これは「がんばれ!」とエールを送っているのかもしれない。
また、この絵全体から感じる春のような明るいイメージは、
世間の荒波は大変で行く手は真っ暗…ということではなくて、荒波だけど希望もある世界…ということかもしれない。
この世界は、生きるべき価値があるのだ…と。

だとすると、絵のどこかに作者が送る”エール”を示すようなものが隠れているかもしれない。
そう思いついたのは、帰りの車の中だった。
それは、今度行ってじっくり確かめてみたいと思う。

絵を見ることが訓練できると、鑑賞は楽しくなる。

今日は、そんな「対話鑑賞」でした。
前回よりも、絵について、より考えることができたと思う。
もう少し、この会に参加して行きたいと思っているところ。
(この絵は、常設展示でいまもかかっているはずです^^)

********
対話鑑賞の概略は…
・開催日 毎週 土、日曜日(休館日を除く)
・時間 1回目 11:00〜11:30
    2回目 13:00〜13:30
・集合場所 展示室1、2前
・定員 各回10名程度(先着)
・対象 どなたでも
・参加料 無料(土曜日は「イシダ フリーサタデー」、日曜日は「木の家専門店 谷口工務店 フリーサンデー」のため、常設展も無料です)
・内容 展示室1または2に展示されている作品の中の一作品を、対話をしながら鑑賞します。
※ファシリテーターが選んだ作品で対話鑑賞をします。鑑賞する作品は、当日美術館エントランスでお知らせいたします。(1回目と2回目で違う作品を対話鑑賞する場合があります)
※時間の変更やプログラム中止の場合があります。美術館ホームページの「お知らせ」をご確認ください。

詳しくはリンク先を見てください。

・滋賀県立美術館の「対話鑑賞」
https://www.shigamuseum.jp/learn/vts/

 
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